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抗がん剤治療を受けるあなたに

このページは、抗癌剤治療をうけるあなたとあなたを支えてくれるご家族や、お友達が抗癌剤治療がどんなものか理解して、安心して抗癌剤治療を受けられるようにしようとすることを目的としています。

抗癌剤治療をうけることになったあなたは、多くの疑問や心配がわいてくることでしょう。また、抗癌剤治療が行なわれている最中にもいろいろな疑問や心配がおこってくることでしょう。きっとここにその答えがみつかると思います。

第1章 はじめに

抗癌剤治療を行なっている期間、あなたは治療にとりくんでいるのだというしっかりとした気持ちでいなければなりません。
抗癌剤治療を行なうと様々な副作用が出現してきます。中には、自分ではどうにもならないようなつらいこともあるかもれません。
しかし、これらに打ち勝ってはじめて抗癌剤治療が成功するのです。

おこってくるであろう副作用などをあらかじめ十分に理解して、その対処法を知っておくことは、抗癌剤治療をつらいものにしないための方法でもあります。

多くの疑問や不安が起こってくることでしょう。 それらについては看護師さんやお医者さんにどしどし聞いてください。あなたの家族、お友達、看護師さん、お医者さんなど、みんなが協力してあなたのからだのなかにある腫瘍(癌)に立ち向かうのです。

第2章 抗癌剤治療とはどんなものか

(1)抗癌剤治療はどのように効くのか

抗癌剤治療は、腫瘍(癌)を抗癌剤という薬物で治療する方法です。
人の体はすべて、細胞というとても小さな単位でできています。

この細胞が集まって肝臓、腎臓、心臓といった臓器が作られています。この臓器が集まって人の体ができているのです。そして細胞は分裂し、成長し、やがて消滅してゆくのを繰り返しながら臓器を保っています。

正常の細胞は、分裂をしすぎないようにコントロールされています。ところが、体の中にできた腫瘍細胞(癌細胞)は、コントロールをはずれて細胞分裂を繰り返し成長し続けてしまい、しだいに大きな塊(腫瘍)となってゆきます。抗癌剤は、この腫瘍細胞を破壊する薬剤です。

そして多くの場合、腫瘍を徹底的にやっつけるために、抗癌剤は数種類組み合わせて使用します。この抗癌剤により、腫瘍を完全に体から消滅させたり、腫瘍が広がるのを抑えたり、腫瘍による症状を軽減したりします。

腫瘍細胞(癌細胞)は、元々は自分の細胞です。自分の細胞の一つが突然に変化し、異常に増殖したものと考えられ、自分の正常の細胞との違いはほんの少しです。したがって、抗癌剤は腫瘍細胞を破壊しますが、自分の正常の細胞も相当な影響を受けてしまいます。このため、強い副作用がでてしまうのです。

(2)腫瘍(癌)の治療法は抗癌剤治療のほかにはないか

いま受けようとしている抗癌剤治療のほかに、腫瘍の治療には手術、放射線療法などがあります。これらを抗癌剤治療と組み合わせて行う場合もあります。
どのような治療法があるかは、お医者さんから十分に説明を受けてください。そして必要があれば、あなたとあなたの家族とお医者さんで最も良い方法を選択してください。

(3)どのような薬剤をどのように使用するか

あなたの主治医が、あなたに最も良い抗癌剤治療を決定しています。同じ腫瘍でも抗癌剤治療は一種類ではありません。
しかもあなたの腫瘍の進展度、あなたの体力、あなたの今後の人生の生き方などを考慮して、あなたにとって一番良い抗癌剤治療を決めなくてななりません。
したがって、どのような薬剤をどのように使用するかは、主治医に任せるのがよいでしょう。腫瘍の種類、進展度などにより、抗癌剤の使用の期間、頻度は異なります。治療は、抗癌剤の注射や経口を毎日、毎週1-2回、毎月1-2回など、さまざまな頻度で行われます。

また、治療の期間は通常最低でも3カ月はかかりますが、長い治療になると3年くらいかかることもあります。病状によって治療の頻度や期間が変更することもしばしばあります。
薬剤には経口薬(のみぐすり)、皮膚に貼る薬、注射薬がありますが、本編では特に注射で使用する薬について詳しく述べることになっています。
このほかに、腫瘍近くまでカテーテルという細い管を通して抗癌剤を注射することがあります。抗癌剤を注射するには通常ポンプを使用しますが、このポンプは、体内に埋め込む場合と体の外のポンプから注射する場合があります。
いずれにしても、最も大切なのは自分勝手に薬を中止したり、量を変えたり、病院へ来なくなったりしてはいけません。もし自分に行われている抗癌剤治療に対して不安になったら、必ず主治医か看護婦さんに伝えてください。

(4)どこで抗癌剤治療を行うか

原則的には入院して行っても良いし、通院で行っても良いです。抗癌剤の注射を毎週1回行うなどの治療では、十分外来治療が可能です。もちろん、経口薬のみの治療なら、当然外来治療が可能です。ある抗癌剤治療は、入院でしか行えないものもあります。

通院治療で行える場合には、できるだけ通院で行うことをお勧めます。
抗癌剤治療をして数日たつと、血液のなかの白血球が減ってくる場合が多くあります。この白血球減少を治療する注射があります。この注射は、毎日のようにしなければならないこともあります。したがって、外来で治療する場合、白血球の減少している時期は毎日のように通院しなければなりません。白血球が減少しいる時期に発熱がおこってきたなら、かならず入院治療になります。

(5)点滴の場合の副作用

副作用の詳細については次の章で述べます。
経口薬(飲み薬)、皮膚に貼る薬、注射、どの場合の抗癌剤治療にも副作用はありますが、注射で行う場合が最も副作用が起こりやすいです。点滴で行う場合、注射針またはカテーテル(静脈の中にいれる細い管)が静脈に入ってしまえば、点滴している部分に痛みはありません。もしかすると、点滴をしている部分に冷たさを感じることがあるかも知れませんが、痛みでなければ心配はいりません。
もし、点滴をしている部分に痛みを感じた場合には、看護師さんかお医者さんに伝えてください。
点滴はできるだけ太い静脈にいれますが、できるだけ関節のように曲がる部分にはいれないようにしています。以前に痛みを感じたことがある部分があったならば、その部位を知らせておいてください。

点滴を長期間にわたって行っていると、点滴の針やカテーテル(細い管)が入っている部分が痛くなったり、赤くなってきたりすることがあります。 このときには点滴の部位を変更する必要がありますので、看護師さんかお医者さんに伝えてください。

(6)いままで飲んでいた薬

今まで飲んでいた薬は、必ず主治医に知ってもらわなければなりません。お薬によっては、これから使用する予定の薬と相互作用して重大な反応が起こってしまう場合もあるからです。
今飲んでいる薬が、今治療している腫瘍にまったく関係のない薬であったとしても、特殊な薬を除いて、薬はすべて抗癌剤治療を行う病院から出すようにします。

(7)仕事について

仕事は続けられます。
抗癌剤治療を行っている間でも、仕事をしている人は多くいます。テレビにでている俳優、ニュースキャスター、政治家のなかにも、抗癌剤治療を行いながら仕事している人もいます。
抗癌剤治療のなかには、週に1回抗癌剤の点滴を注射するという場合があります。この場合、仕事が休みになる前日に抗癌剤の注射をすれば、休みの次の日の仕事がうまくゆくことでしょう。
抗癌剤治療の計画は、あなたと協議しながら行いますので、できるだけ仕事は続けるつもりがよいでしょう。
仕事を続けるためには、職場での上司には、あなたの状態を良く伝えておくことも必要です。必要があれば、あなたの許可を得てから、主治医があなたの上司にあなたの病状を伝えることも可能です。

(8)治療効果について

治療が有効かどうかは、血液検査、レントゲン写真、超音波検査、CTなどでわかります。治療がうまくいっているかどうかは、主治医に質問してください。

抗癌剤治療は副作用の起こることが多いのですが、治療がうまくいっていても副作用がでないこともありますので、副作用がでなかったからといって、治療効果がなかったと思わないようにしてください。

抗癌剤は非常に多くの種類があり、抗癌剤の種類によって副作用の出方は異なります。また、副作用がでた場合、治療がうまくいっているためと我慢をしなくてもよいのです。たしかに副作用を我慢しなければならないことも多いのですが、副作用を軽減するためのいろいろな手段があるかも知れません。
副作用とその対処法については、次の章で詳しく述べます。

第3章 抗癌剤治療の副作用

抗癌剤治療の副作用

抗癌剤治療には、副作用があることは多くの人が知っていますので、どのような副作用があるのか誰しも気になるところです。抗癌剤治療が始まると、自分に副作用が生じるのか、またどんな形で抗癌剤治療の副作用が起こるのか不安になるものです。また、どのように副作用に対処するのが一番良いのか知りたいものです。
この章では、こういった副作用に対する疑問にお答えします。

抗癌剤治療を受ける前にこの章をご覧になると、余りにも多くの副作用について書いてあるので憂鬱になるかもしれませんがこれだけは覚えていてください。つまり、ひとりひとりがそれぞれ受ける副作用はほんのわずかで、程度も人によって差があると言うことです。
あなたに副作用が起きるか、またどのくらい強いものかということは、どの種類の薬をどれだけ使うか、さらにそれに対して、あなたの身体がどのように反応するかによります。従って、あなたが受ける抗癌剤治療には、どのような副作用が起きやすく、それがどのくらい続いて、どの程度のものなのか、そしてどのような時にその副作用に対して治療が必要になるのか、主治医に十分説明を聞いておくことが大切です。

なぜ副作用が起きるのか

腫瘍(癌)細胞は、急速に分裂して成長するので、抗癌剤は、成長の速い細胞を殺すように作られています。
しかしながら、ある種の健康な細胞にも急速に細胞分裂するものがあり、抗癌剤は腫瘍(癌)細胞だけでなくこの様な正常細胞にも影響を与えてしまうのです。
こういったことが、副作用の原因になるのです。成長の速い正常細胞には、骨髄で造られる血液細胞、消化器の細胞、生殖器の細胞、毛根細胞があります。
また、抗癌剤は、心臓、膀胱、肺、神経系の細胞にも障害を与えることがあります。こういったことから、最も多い副作用は、嘔気、嘔吐、脱毛、疲労感です。

副作用の持続期間

抗癌剤治療が終了すると大抵の正常細胞は急速に回復してきますので、副作用の多くは個人差はありますが徐々に消失し、健常細胞はふたたびもとのように成長しだします。どれくらいでもとのように楽になれるかは、普段の健康状態やどのような薬を使用したかによります。多くの副作用はかなり早く消失しますが、ものによっては、数ヵ月、数年続く場合もあり、ときに心臓、肺、腎臓、生殖器等への障害は生涯残ることもあります。
また、ある種の抗癌剤には発癌作用があり何年もたって他の癌を発症することが希にあります。しかしながら、ほとんどの人は長期間問題を抱えることはありませんし、主治医も、抗癌剤の副作用を予防するために常に最大限の努力をしていますのでご安心ください。例えば、腫瘍(癌)細胞には強力に作用し、正常細胞には余り危害を加えないようにする種々の薬剤や、投与方法を開発、使用しています。

抗癌剤の副作用はつらいものですが、腫瘍(癌)細胞を破壊する作用(治療効果)とのバランスが大切です。長期間抗癌剤治療をうけていると、時々副作用で、病気と戦う勇気を失うこともあります。そのようなときは遠慮せず主治医に相談してください。場合によっては、使用する薬を変えたり、スケジュールを変更したりすることもありますし、副作用を少なくする方法を指導できる場合もあります。一番大切なことは、主治医はいつも抗癌剤の治療効果と副作用とを考えながら治療を進めているということです。

次に、抗癌剤治療をうけているとよくある副作用への対処方法を述べてみます。

はきけ、嘔吐について

抗癌剤が胃や嘔吐中枢に作用してはきけ、嘔吐をおこすことがあります。以前は、抗癌剤治療をしている最中や抗癌剤治療後には必ずといってよいほど、はきけと嘔吐がありました。しかし、最近では、抗癌剤治療の時に使用すると非常によく効くはきけ止めの注射やのみ薬ができたので、現在では、ほとんどはきけ、嘔吐がないこともあります。
はきけ、嘔吐がおこるときには、いつもムカムカしている人もいれば、抗癌剤を投与されたあとにだけ強いはきけ、嘔吐を起こす人もいます。普通、こういった症状は、投与後すぐに始まったり、8時間から12時間後に始まったりします。症状は、数時間から丸1日続く場合もあります。ある人は投与前に薬をみただけで、はきけ、嘔吐を起こすこともあります。

丸1日以上はきけ、嘔吐が続く場合、またはきけが強く水分も取れない場合は必ず主治医や看護師に相談してください。はきけ、嘔吐は予防したり軽くしたりできるものです。
もし、はきけの治療をしてもなお、はきけが残っているようなら、次に述べるようなことも試してみてください。

  1. 一度にたべすぎないで、少しずつ回数を増やして食べましょう。
  2. 食事中は水分をとり過ぎないようにし、食前1時間、食後1時間に水分を取るようにしましょう。
  3. ゆっくり飲食しましょう。
  4. 甘いもの、揚げ物、脂肪分の多いものは避けましょう。
  5. 冷やしたりして食べると臭いが気にならなくなることもあります。
  6. よく噛んで食べ消化を助けましょう。
  7. とくに朝、はきけの強い人は、コーンフレイクやトースト、クラッカーなどの乾燥したものを取ってみるのも一つの方法です。
    歯痛、咽頭痛、唾液の少ない人はこの方法は避けたほうがよいでしょう。
  8. りんごジュースやぶどうジュースなど甘味の少ないものや、炭酸を抜いた炭酸飲料などを冷やして飲むのもいいでしょう。
  9. 氷やハッカ味あるいは酸っぱい飴をなめるのもいいかもしれません。
    歯痛、咽頭痛のある場合は酸っぱいものは避けましょう。
  10. 料理の臭い、煙、香水など遠避けた方がよいでしょう。
  11. 調理する気になれない場合はあらかじめ冷凍食品などを用意しておきましょう。
  12. 食後2時間位は横にならないで、椅子にかけて休むのがよいでしょう。
  13. ゆるめの服を着ましょう。
  14. 嘔気がするときはゆっくり深く呼吸をしてみましょう。
  15. 友達や家族とおしゃべりをしたり、音楽鑑賞、映画テレビなどを観たりしてを紛らわすのも1つの方法です。
  16. 抗癌剤治療で嘔気の強い人は、投与2、3時間前から食事はしないようにしましょう。

脱毛について

脱毛はよくある副作用ですが必ず起きるということでもありません。使用する薬によるので主治医は脱毛が起きやすいかどうか教えてくれるでしょう。脱毛は、薄くなる程度のものから、完全に抜けてしまうまで程度は違います。
治療が終わると大抵は毛が生えてきますし、中には治療中に生えてくる人もあります。
脱毛は頭だけでなく、手足、腋毛、恥毛も抜けることがあります。
脱毛はすぐには起きません。普通は抗癌剤が数回投与されてから始まります。徐々に抜け始める場合と、ごそっと抜ける場合があります。毛は、頭皮の近いところで抜けるので、頭皮が痛くなる事もあります。治療中に新しく生えてくる毛は枝毛になっていたりしてぱさぱさしています。

抗癌剤治療を受けているときには、次のように頭皮や頭髪の手入れに気を付けましょう。

  1. 刺激の弱いシャンプーを使いましょう。
  2. 柔らかいブラシを使いましょう。
  3. 頭髪を乾かすときは、低い温度でゆっくりと乾かしましょう。
  4. ブラッシュローラーを使ってセットはしないようにしましょう。
  5. 頭髪を染めたりパーマをかけてはいけません。
  6. 頭髪を短めに整えておくと、薄くなった頭髪が目立たなくなりますし、脱毛の処理も簡単になります。

脱毛がひどくなった場合、ターバンやスカーフを巻いたり、帽子をかぶったり、かつらを付けたり、ヘアピースを使ったりするのもよいでしょう。いわゆるTPOにあわせて選ぶとよいと思います。何がよいとか悪いとかはありませんのであなたのお好きなもので良いわけです。何もつけない人もいます。
脱毛は不愉快な副作用で、時に気落ちしたり悲しくなったりします。しかし、抗癌剤治療が終われば、必ず元通りになります。

疲労感、貧血について

抗癌剤は、骨髄に作用して赤血球を減少させます。赤血球は酸素を身体中に運ぶ作用がありますので、これが減少すると身体の組織が十分に酸素の供給を得られなくなります。このような状態を貧血と呼びます。貧血になるととても疲れやすくなります。その他に、眩暈や、震え、息切れなどが起きることもあります。
こういった症状が起きたら必ず主治医に報告してください。主治医は、治療中に何度も赤血球の数を調べ、貧血がひどい場合は輸血をする場合もあります。

貧血になった場合、次のように心掛けるとよいでしょう。

  1. 休息を十分に取り、夜は睡眠をちゃんと取り、できるなら昼寝もしたほうがよいでしょう。
  2. 必要なことだけをするようにし、余り忙しくしないようにしましょう。
  3. 決して無理をしないように、お子さんの世話や、買い物、家事、車の運転など、他の人に頼める場合は頼んでしまいましょう。
  4. 十分に食事を取りましょう。鉄分の多く含んだものに加え、緑黄野菜、赤身の肉とくにレバーを多く食べましょう。
  5. 座っていたり、横になっているときに、急に立ったり、起き上がると眩暈を起こすので、ゆっくりとしましょう。

感染について

抗癌剤治療を受けている間は、感染にかかりやすくなります。これは、抗癌剤が骨髄に作用して、白血球を減少させてしまうからです。
白血球は、感染と戦うとても大切な血液成分なのです。
感染は口の中、皮膚、肺、直腸、泌尿生殖器などいろいろな場所におきやすくなります。
主治医は頻繁に白血球の数を調べ、非常に少なくなると抗癌剤治療を延期したり、薬の量を少なくしたりします。

白血球の数が少なくなったとき次のようなことに注意しましょう。

  1. 毎日何度も手を洗いましょう。とりわけ、トイレの前後は良く洗うように心掛けましょう。
  2. 排便後は肛門の周りを清潔にしましょう。肛門がヒリヒリするような場合や、痔がある場合、主治医や看護師さんに適切なアドバイスをしてもらいましょう。
    白血球が減少しているとき(特に白血球数が2000/mm3以下の時)には、特に注意が必要です。
    排便後は、できるだけ柔らかく、消毒薬をしみこませたガーゼなどで拭くようにしましょう。

  3. まわりに、風邪をひいたり、はしか、水痘にかかっている人がいたら近づかないようにしましょう。
    また、人ごみは避けるようにしましょう。
  4. 指のささくれをむしったりしないように気を付けましょう。
  5. 鋏、包丁、ナイフなどでけがをしないように気を付けましょう。
  6. 髭を剃る場合は、ひふを傷つけないように電気かみそりを使いましょう。
  7. 歯肉を痛めないように軟らかい歯ブラシを使いましょう。
  8. にきびをひっかいたり潰したりするのは良くありません。
  9. 入浴の際は余り熱いお湯に入らず、程よい温度で、毎日入りましょう。
    お風呂から上がったときは皮膚はゴシゴシ擦らずに乾かしましょう。
  10. 踵がカサカサしたりしているときは、ローションやオイルで手入れをしておきましょう。
  11. 切り傷、擦り傷は、すぐにぬるま湯で洗い、石鹸できれいにして消毒しましょう。
  12. 庭仕事をしたり、動物の世話をする場合は、必ず手袋をして手を保護しましょう。
  13. 主治医に相談しないで予防注射をうけないように気を付けましょう。

いくら注意をしていても、感染を起こすことがあります。感染の兆候に注意して下さい。
特に、目、鼻、口の中、会陰部には気を付けましょう。感染の兆候には次のようなものがあります。

  1. 38度以上の発熱
  2. 悪寒、戦慄
  3. 発汗
  4. 軟便、下痢(抗癌剤の副作用のこともある。)
  5. 排尿時にやけるような感じ
  6. 激しい咳や咽の痛み
  7. おりもの、膣のかゆみ
  8. 傷や、にきび、おできの周りが赤くなったり、腫れてきたとき

この様な兆候がでたときはむやみに鎮痛下熱剤を使わずにすぐに主治医に連絡を取りましょう。

血液凝固不良について

抗癌剤は骨髄に作用して、血小板の数を減少させます。血小板は血を止めるのには欠かせない血液成分です。血小板が減少すると、ちょっとしたことで出血したり、青あざになったりしてしまいます。

もし、知らないうちに青あざが出来ていたり、皮下出血ができていたり、尿が赤くなったり、血便、黒い便が出たら主治医に連絡しましょう。その他にも、不意に鼻血がでたり、歯肉から出血するような場合も要注意です。主治医は血小板数を定期的に調べ、もし減少が激しい場合は、血小板輸血を行うこともあります。

次に血小板が低い場合に気を付けることを述べます。

  1. 単なる風邪薬でも薬を使う場合も必ず、主治医や看護師に相談してください。
  2. 治医の許可があるまでアルコールは控えましょう。
  3. 歯ブラシは軟らかいものを使用し、歯の清潔に気を付けましょう。
  4. 鼻をかむときは、そっとするようにし、指でほじらないようにしましょう。
  5. ナイフなどの刃物は気を付けて使いましょう。
  6. アイロンや調理の際に火傷をしないように気を付けましょう。
    オーブンの中に手を入れる際は保護手袋を着用しましょう。
  7. けがをしそうなスポーツは止めましょう。
  8. 庭仕事や、とげのある植物のそばで仕事をするときは厚めの手袋をしましょう。

口、歯ぐき及びのどの問題

抗癌剤治療は口やのどの痛みをおこすことがあります。また口とのどがからからになって出血を起こすこともあります。痛みにつけ加えて、口の中のたくさんの細菌によって感染が引き起こされてしまいます。
抗癌剤治療の間は、このような感染症は治療しにくく、重症になることもあります。ですから、そうなる前に予防をすることが大切です。
もし出来ることなら、抗癌剤治療の開始前に、歯医者に行き、口のなかの病気をチェックしてもらってください。例えば、口内炎、歯肉炎 そして入れ歯があっているか、治療した歯がきちんとなっているかをみてもらいましょう。
抗癌剤治療中の歯ブラシでの磨き方に特別なものはありません。しかし、大切なことは、歯磨きによって口の中がほんの少しではあるけれど傷つき、ここから少しの細菌が血液中に入ってしまうことです。
抗癌剤治療の副作用で白血球の少なくなった時期では強く歯磨きをしないようにし、歯ブラシはできるだけ柔らかい毛の歯ブラシを使用しなければなりません。

歯ブラシは使用後よくすすぎ乾いたところに置いておきましょう。

白血球が少なくなっていない時期では、普通に歯磨きをしてよいです。毎食後必ず歯をみがきましょう。

口の中があれてしまい、やわらかな歯ブラシでも痛みを感ずるときは、綿棒かガーゼを使って歯をきれいにして下さい。イソジンという消毒薬の入ったうがい薬がだされることも多いでしょう。
また、口の中があれないように予防するうがい薬もあります。

口の中が痛くなって食事が取れなくなったとき、痛みにたいして治療が必要になります。そのようなときには、マーロックスを綿棒につけ痛いところにぬってみましょう。局所麻酔の入ったゼリーや痛みを和らげるための薬を処方してくれるでしょう。食べ物は冷たくするか常温にしてから口にしましょう。熱いものは口やのどをよけい刺激します。

また、やわらかい刺激のないもをえらびましょう。例えば、おじや、お粥、アイスクリーム、ミルクシェイク、乳幼児のたべもの、りんごのすったもの、バナナ、マッシュポテト、半熟のたまご、スクランブルエッグ、プリン、寒天などが食べやすいでしょう。くだものや野菜はミキサーにかけて食べてみてください。
トマト、オレンジ、グレープフルーツ、レモンなどの酸味のあるものはさけたほうがよいでしょう。
スパイスのきいた食べもの、塩分のきいた食べ物も避けましょう。

口の中が乾いてしまい痛くて食べることもできないようなときには、沢山水分をとり、氷、砂糖のすくないあめやアイスキャンデーをなめるのもいいでしょう。 パンなどはバター、マーガリン、スープなどにつけてたべるのもよいかもしれません。
乾いたパリパリするようなたべものは、スープ、ジュース、お味噌汁などにつけてからたべましょう。

唇が乾いたらリップクリームをつかってください。

下痢症

抗癌剤治療中下痢や軟便になることがあります。
下痢が24時間以上続いたり、下痢にともなって、いたみや、しぶり腹になるときは主治医にみてもらってください。ひどいときは、下痢止めが必要となります。下痢をコントロールするには、食事療法が必要です。一回に食べる量は少なく、食事の回数を多くしましょう。
生野菜、豆類、新鮮なまたはドライフルーツ、ポップコーンなどのように繊維の多く入った食べ物は下痢を助長し痛みをおこしやすいため避けたほうがいいでしょう。
パン、ご飯、おじや、お粥、麺類、熟したバナナ、缶詰の果物、チーズ、ヨーグルト、マッシュポテト、煮魚、皮のない鳥料理、卵などの繊維の少ない食べ物を食べて下さい。
コーヒー、紅茶、お茶、アルコール類や甘い物は避けましょう。
揚げた物、脂っこい物、スパイスのきいた物もまたひかえましょう。
それらは下痢をおこし刺激し腹痛を伴うかも知れません。
下痢になると体の中の水分とカリウムが失われますので、これらを十分に補う必要があります。カリウムは、バナナ、オレンジ、じゃがいも、桃、に多く含まれています。
下痢で失われた水分はりんごジュース、お水、お茶、肉汁、スポーツ飲料などをゆっくり、部屋の温度にしてから飲んで下さい。炭酸飲料は少し気を抜いてから飲みましょう。
牛乳や乳製品は避けましょう。
下痢がひどいときは、おなかを休めるために、流動食だけにして食事をやめた方がいいかどうか主治医に聞いてみましょう。症状が改善してきたら、少しづつ繊維のすくない食べ物から食べてみましょう。
流動食だけでは栄養分が足りないので、流動食は3日以上続けないようにし、主治医に相談しましょう。

便秘

抗癌剤治療中その薬のために便秘になる人がいます。またある人は治療中ふだんよりあまり動かなくなったり、あまりたべないために便秘になります。
もし一日または、二日間便がでないときは、主治医に相談してください。
便秘の薬や浣腸が必要となるかもしれませんが、必ず主治医と相談してから使って下さい。便秘の対策はいくつかあります、試して下さい。大量の水分は便をやわらかくします。

あたたかいまたは熱い飲物は、便秘を改善します。繊維を多く含む食事をとりましょう。野菜類、新鮮な果物、ドライフルーツ、豆類、ポップコーン、コーンフレーク、パン等です。また、体を動かすこともよいでしょう。

手足のしびれ

手足には神経がまんべんなくあります。抗癌剤治療はときどきこれらの神経に影響をおよぼし、手足のしびれなどをおこすことがあります。しびれには、感覚が麻痺するような感じ、異常な感覚(ヒリヒリ感、灼熱感、など)、手足が動きにくくなるような感じ(脱力感)があります。
ほかにも、バランス感覚の喪失、動きがぎごちなくなり、ものをつかむことが困難になったり、歩行困難、関節痛、筋肉痛などをおこすこともあります。
これらの症状は、あまり重症になることは少ないのですが、あまり気持ちのよいものではありません。あまりよい治療法というものはありません。抗癌剤治療をやめれば自然にもとに戻ることが多いのですが、抗癌剤治療をやめるわけにいかず、ある程度がまんしながら治療を続行して行くことが必要になることもあります。症状が強いときには、主治医に相談してください。
手にしびれ感がある時は、熱い物、とがった物、危険な物、をつかむときは注意をしましょう。足にしびれ感があったり、バランス感覚がなくなってたり、筋力が低下しているときは、 転ばないように注意深く歩きましょう。階段の昇り下りは手すりにつかまりましょう。浴槽にはだれかと一緒にはいるか、下にすべらないようにマットをひくのもよいでしょう。すべりそうな履き物は履かないようにしましょう。

皮膚とつめへの影響

抗癌剤治療中に皮膚やつめにも多少の影響があります。例えば、発赤、痒み、皮が剥けたり、肌が乾燥したり、にきびのようなものができたりします。
つめはもろくなり、さけたり、すじが入ったりします。

にきびのようなものができたら、顔を清潔に保ち、薬局で薬用石鹸やスキンクリームを買って使ってみるのもよいでしょう。かゆみを伴う時は、パウダーを使うのもよいでしょう。肌が乾燥してしまうときには、長時間の熱い入浴を避けて、シャワーか体を拭く程度にするのもよいかもしれません。肌を乾燥させないために、入浴後スキンクリームやローションは役にたちますが、香水やアルコールを含む髭そりあとのローションは避けた方がいいでしょう。

マニキュアはさけましょう。つめを守るため、皿洗い、草いじり、家のまわりの仕事をするときには、手袋をしてみたらどうでしょう。このようなことをしてもあまりうまくいかないときには、主治医と相談して下さい。

抗癌剤によっては血管にそって皮膚が黒くなります。しかし一般に治療後数カ月で次第に色はもとどおりになってゆきます。

抗癌剤の中には、日光にあたると、皮膚に与える影響を増強してしまうことがあります。日光から皮膚を守るため、皮膚保護のスキンローションを使ってもよいです。直接日差しにあたらないか、日差しをブロックする亜鉛化軟膏などの使用を少しずつためしてみるのもよいでしょう。

放射線治療をすでに受けた人が抗癌剤治療中に、放射線を受けたときになった皮膚炎と同じものになることがあります。抗癌剤治療中または直後に放射線を受けた部位の皮膚全体が赤くなったり、痒くなったり、または灼熱感をおぼえたりします。これは、数時間またはしばらくの間毎日のように続くこともあります。冷たいそしてぬれた湿布を試してください、痒みや灼熱感はかなりよくなるでしょう。

抗癌剤の点滴や静脈注射をしていて、点滴の部位に痛みや灼熱感を感じたら、すぐに主治医か看護婦に連絡してください。抗癌剤の種類によっては、血管の外にもれると、皮膚に潰瘍や壊死を作ってしまうことがあり、すばやい処置が必要なときもあります。痛みや灼熱感がいつも危険なサインではありませんが、一度は必ずチェックしてもらわなければなりません。

抗癌剤治療を受けているときに、体の痒みを感じたり、発疹か尋麻疹が生じたら、また呼吸するときに喘息のような異常な呼吸音が生じたら、すぐに主治医か看護師に報告してください。これらアレルギー性反応はしばしば治療が必要です。

腎臓および膀胱への影響

抗癌剤治療の薬の中には、膀胱を刺激したり腎臓に一過性の障害を与えるものがあります。
主治医に使用する薬が膀胱や腎臓に障害を来す可能性があるかどうかきてみてもよいでしょう。
そしてもしその可能性のある薬を使用しているときは、つぎのような症状に注意してください。

  • 膀胱炎(細菌性または薬剤性)の症状
  • 排尿痛または不快感
  • 頻尿
  • 排尿感を感じたら我慢できないとき
  • 色あるいは血の混じったような尿
  • 発熱、悪寒

一般的に抗癌剤を使用しているときには、水分を十分とることが重要ですが、特に、腎臓や膀胱に影響を与えるような薬を使っている時には水分を多くとって尿量を多くしておくことが大切です。水分を多く取ることは、いろいろな不快な腎臓や膀胱の障害を予防するのによいでしょう。ふつうのお水、お茶、麦茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒー、ジュース、スープ、アイスクリームなど何でもいいでしょう。
抗癌剤治療の薬の中には、時に尿の色がオレンジ、赤、黄色になったりすることがあります。また変な臭いがするときもあります。心配ないのですが、気になるようなら、主治医と相談してください。

風邪のような症状

抗癌剤治療後数日または数時間の間にあたかも風邪をひいたような症状にみまわれる時があります。風邪様症状(頭痛、筋肉痛、易疲労感、悪寒、微熱、吐き気、そして食欲不振など)が2、3日続くことがあります。これらの症状は、抗癌剤治療ではなくて感染や腫瘍そのものによっても生じることがあります。
主治医に報告して、治療を決めてもらってください。

むくみ

抗癌剤治療中に体のむくみがでることがあります。これは、薬によるときと、治療によるホルモンの変化、または腫瘍による場合があります。顔、手、足、おなかにむくみを感じたら主治医か看護婦に相談して下さい。塩分の多い食品や塩分摂取をひかえるようにして下さい。ひどいときは、主治医と相談してむくみをとる薬をつかってみてください。

性生活への影響

抗癌剤治療は男女の性殖器官に何らかの影響を与えるかもしれません。いつも起きるわけではありませんが、使われる薬、あなたの年齢、そして全身の健康状態に影響されます。
男性にたいしては、抗癌剤治療は精子の数を減らし、その運動性を低めたり、その他の異常を起こしたりします。男性の不妊の原因になるかもしれませんが、性生活は可能です。将来妊娠不可能な場合もでてきます。治療の前によく主治医と相談して下さい。なお精子の凍結保存などは日本では、まだひろくは行われていません。抗癌剤治療中は抗癌剤の染色体への影響のために避妊が必要です。このこともよく話し合って下さい。

女性にたいしては、抗癌剤治療の薬は卵巣に障害を与え、ホルモン産生を低下させる可能性があります。抗癌剤治療中、月経周期のみだれや一時的に無月経になることがあります。不妊症になることもあります。一時的なときと生涯妊娠不可能になるときもあります。不妊のおきる要素は、抗癌剤治療の薬の期間、薬のタイプ、薬の量、そしてあなたの年齢などによります。

一方で、妊娠は抗癌剤治療中可能かもしれませんが、薬の胎児への影響を考えると、やはり避けるべきでしょう。妊娠可能年齢の女性は治療中避妊をすべきです。

腫瘍が見つかったとき、もしあなたが妊娠していたら、分娩まで抗癌剤治療を待つこともあります。もしすぐに治療を必要なときは、治療を妊娠12週を過ぎて、比較的胎児への影響がなくなる頃から開始します。しかし場合によっては人工中絶も考えなくてはなりません。

薬のホルモンへの影響は時に更年期症状を起こすことがあります。ほてり、腟のかゆみ、灼熱感、乾燥感などです。これらの変化は、性生活を不快にしますが、ペニスの挿入をなめらかにするゼリーを使うとかなり改善されます。

これらの症状はまた感染もおこしやすくします。感染を防ぐために、通気性のいい綿の下着を使用し、からだにぴったりのスラックスなどはなるべく避けるようにしましよう。主治医と相談して外陰部の軟膏や腟錠使用もよいでしょう。もし感染の徴候(黄色のおりもの、量が多い、かゆみがある)があれば、すぐに主治医と相談して治療を開始してください。抗癌剤治療中の感染はすぐに治療をするのが安全です。

性生活について

セックスに関しては抗癌剤治療をうける人々によって違いがあります。あるひとは治療中いままで以上に相手(妻または夫)を密接に感じ、セックスを求める気持ちが強くなります。またあるひとはいままでどおりですが、そのほかのひとは、治療からうける身体的および肉体的ストレスのために性欲は減退します。ストレスは健康にたいする不安、家庭、疲れやすさ、ホルモンの変化、副作用そして治療費などによるものです。

また相手(妻または夫)の不安や心配もまたセックスに影響します。たとえばあるひとは、セックスは相手の病状を悪化させると思いこんでいるし、またセックスで相手の腫瘍がうつりはしないかとか、相手と同じように薬の影響を受けるのではないかとか誤解されていることがあります。誤解をときセックスについて主治医や看護婦と相談して見てください。

あなたは相手と病気とセックスについて十分話あうべきです。もし話し合うことが難しいときは、ほかにカウンセラーや相談相手を見つけて、十分話し合うべきです。主治医や診療内科の先生とも相談してみるのもよいでしょう。

治療前にセックスの喜びを感じたことのある人は、抗癌剤治療中にセックスに同じ感覚をもてるでしょう。しかし性的喜びの方法はさまざまで、抱き合うこと、互いにふれあうこと、ベットを共にすることなどがあります。セックスが少なくなるとき、これらはとくに重要です。治療前にあった愛情はすべてそのままのはずです。性的表現にきまりはありません。お二人でよく話し合いましょう。

第4章 食生活

抗癌剤治療を受けるときには、しっかりと食事を取ることも大切です。きちんと食べれば副作用も乗り切れるようになりますし、抗癌剤によって障害を受けた臓器の再生を促し、感染に対しても抵抗力がつきます。

食事は、常にバランス良くしなければなりませんが、抗癌剤治療をしているときには、特に気を付けなければなりません。バランス良く食べるということは、体が必要とする栄養分をすべて含むということです。必要な栄養分は、炭水化物(米、パン、うどん、そばなど)、蛋白質(肉、魚)、野菜や果物、乳製品です。

炭水化物は、体のエネルギーになります。抗癌剤治療を受けているだけの時は、普通に食べていればよいのですが、感染をおこしたり、熱がでたりしたときには、つとめて食べるようにしましょう。蛋白質は体を作るのに必要です。抗癌剤によって、皮膚、毛、筋肉など障害を受けた臓器を再生するために、 普段より多めにとるようにしてください。水分は、栄養素としては考えられていませんが、非常に大切で、抗癌剤治療による腎臓障害を防ぐためにも、十分に取りましょう。水分は何でも構いませんが、真水を飲むよりはスポーツ飲料などがよいでしょう。

抗癌剤治療の時には、食事が大切とわかっていても、食欲がなくなり食べれなくなることが多いです。食事を取れるようにいろいろと工夫をしてみましょう。食事は、決まった時間に食べる必要はありません。一日の食べる量が、3食分であればよいのです。食べたいときにリラックスして食べるのがよいでしょう。発熱があるときには、下熱剤を使用して、熱を下げてから食事をするのがよいでしょう。点滴や、何かの医学的な処置があるときにも、時間をずらすのがよく、 食事を抜いてしまうようなことがないようにしましょう。

食事は、食べやすい物をどんなかたちにして食べても構いません。できるだけ家族や友人と一緒に食事をするのもよいでしょう。テーブルクロスを変えたり、キャンドルと立てたり、照明を変化させたり、バックミュージックを奏でたり、食べる場所を変えたりと、工夫してみてください。

アルコールは少量なら飲んで構いません。少量のアルコールは食欲も増し、リラックスした気分になりますので良いでしょう。しかし、アルコールは、体の免疫力を低下させる場合があり、薬の効果を弱めることもありますので、少量でも飲んでよいかどうかは主治医に聞いてみてください。

栄養の補給として市販のビタミン剤やドリンク剤を飲んでもよいかと良く質問されます。必要な薬はすべて主治医が処方していますので、特に自分で買う必要はありません。ビタミン剤やドリンク剤は、栄養の補給としての意味は多くはありませんが少なくとも害はなく飲んでも構いません。しかし、食事がある程度とれていれば飲む必要は全くありません。

第5章 医療費

抗癌剤治療を含め、癌の治療費は、すべて保険適応です。保険請求以外の自費で支払わなくてはいけないのはほとんど無いはずですが、 病院によってはいくつかの自費で支払わなくてはいけないものがあります。個室、二人部屋、四人部屋など、差額ベットと言われるベットを使用したときや衛生材料費などです。これらは、公的な補助の対象にはなりません。医療費が保険でカバーされると言っても、それでもかなり高額になります。そのために、癌の治療に関して医療費の補助を受けるさまざまな制度があります。

高額療養費

高い医療費による経済的負担を軽くするために、病院窓口でのお支払額(医療費の一部負担額)が自己負担限度額を超えた場合に、 その超えた分の払い戻しを受けられるのが高額療養費です。

  • 高額療養費の計算方法にはルールがあります。
  • 自己負担限度額というのは、年齢や所得などによって計算方法が違います。加入の医療保険によっては条件等が異なる場合がありますので、詳しくは加入の医療保険窓口へお問い合わせください。(お手持ちの保険証の連絡先へ)

高額療養費の申請について

医療保険者

国民健康保険 ⇒ 市区町村の担当窓口
その他なら ⇒ それぞれの加入先(保険者)
に申請します。

支払額が決定となるには、病院等の診療報酬請求書を審査したうえで決定されますので、約2カ月~6カ月余り後になります。

申請に必要なもの:印鑑・保険証・医療機関の領収書・振込先口座・払戻金申請に関する保険者からの通知

更に負担を軽くする制度もあります。(※後期高齢者医療制度の方は除きます)

外来通院

高額療養費委任払い制度
国民健康保険では、高額療養費として支給される額が市区町村から、直接病院に支払われる″高額療養費委任払い制度″があり、これを利用すると、病院窓口での支払いが高額療養費を除いた自己負担限度額のみとなります。(市区町村の担当窓口にて高額療養費支給申請書兼請求書を取り寄せて病院担当者へご提出下さい)
高額医療費(療養費)貸付制度
高額療養費によって自己負担限度額以上に支払った医療費は払い戻しを受けられます。しかし、払い戻しを受けることができるのは、申請時から約3ヶ月もかかり、その間多額の費用を立て替えることになります。
また、治療が継続している場合は、さらに費用が必要となります。このような場合に、当面の医療費の支払いにあてる資金を調達する手段として、”高額医療費(療養費)貸付制度”があります。
この制度は高額療養費が支給される見込みのある方が利用でき、払い戻し金額の8割相当額を無利子で借りられます。返済方法は、申請者の委任にもとづいて、高額療養費の払戻金と貸付金の清算がされ、その後、残預金が振り込まれます。ただし、高額療養費が支給されなかった場合は、貸付金を返済しなければなりません。

入院

限度額認定証
事前に申請し、″限度額適用認定証″を交付してもらい、それを病院へ提出すると病院での支払いは、高額療養費の自己負担限度額となります。
入院では、上記のような”高額医療費(療養費)貸付制度”や″高額療養費委任払い制度″が利用出来ない場合が多いので、事前に″限度額適用認定証″を交付してもらう事をおすすめします。
  • 70歳以上は自己負担限度額+保険外のみの窓口負担となるため、限度額認定証の申請は必要ありません

詳しくは、ご加入の保険者担当窓口にお問合わせください。

第6章 抗癌剤治療を始める前に

今までの章で抗癌剤治療についてご理解いただけたことと思います。抗癌剤治療を受ける前にいくつかのことを主治医や担当の看護婦さんに聞いておく必要があります。それは、いままでの抗癌剤治療のお話しが、あなたに使用する抗癌剤にすべてあてはまるわけではないし、ここに書いていないこともおこりえるからです。また、もう一つ大切なことは、あなたとお医者さんとよい関係を持っているということです。

抗癌剤治療を受ける前に、十分に説明を聞いて、もし、わからないことがあれば質問をしておきましょう。抗癌剤治療を受ける場合に知っておくことが望ましい事項は以下のとおりです。これらは、絶対に知っておかなくてはいけないということではありません。信頼できるお医者さんが治療を担当していると、そのお医者さんにすべて任せきりというのも日本的で悪くはないかもしれません。また、あなたが聞きたくないこともあるかもしれません。しかし、あなたのご家族やお友達には知っておいてもらってもよいことでしょう。

  • 抗癌剤治療でどういう効果が期待できるか
  • どの薬をどのように使うのか
  • 入院でするのか、外来でするのか
  • 治療の終了の予定はいつか
  • 行なおうとしている抗癌剤治療に以外に方法はないのか
  • この治療法での副作用は何か
  • そのときの対策はあるのか

質問は躊躇してはいけません。恥ずかしいと思ってもいけません。お医者さんに対して自分が悪く思われるのではないか、などと思ってもいけません。あなたの命がかかっているのです。

質問は、できるだけメモをしておくほうがよいでしょう。メモをすると、質問をするときに忘れないようにしておくだけでなく、質問をまとめているときに新たな質問が湧いてくることもあります。治療について説明を受けるときや質問をするときには、ご家族やお友達と一緒にいるときがよいでしょう。

あなた一人が腫瘍(癌)に立ち向かうのではありません。ご家族と、お友達と、お医者さんと看護婦さんとみんなでこの憎らしい腫瘍(癌)に、挑戦しようではありませんか。

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