世界最高峰の移植専門誌に腎移植外科 大久保医師の論文が掲載されました
このたび、医療法人徳洲会 湘南鎌倉総合病院 腎移植外科 大久保恵太医師による提言論文が、世界で最も権威ある移植専門誌『American Journal of Transplantation(AJT)』に掲載されました。今回の論文掲載は、湘南鎌倉総合病院が現場から発信する“制度変革のための医学的提言”が、国際的にも高く評価されたことを示しています。
掲載された論文について
“Cultural Myth vs. Systemic Failure: Why Japan’s Deceased Organ Donation Rate Remains Stagnant”
(文化的神話か、それとも制度の失敗か──日本の献腎移植数が増えない本当の理由)
本論文では、日本の脳死下臓器提供数が国際的に見て著しく少ない背景を、文化的・宗教的価値観による説明ではなく、制度的・構造的な欠陥として捉え直し、次の3点に焦点を当てて分析しました:
- 日本独自の“脳死は臓器提供に限る”という法律上の制限
- 医師の過重労働と、臓器提供に必要な説明や対応を担えない医療現場の構造的問題
- 全国的な臓器移植コーディネーター不足
これらの問題は文化ではなく制度設計に起因する“是正可能な課題”であることを提示しました。
また、湘南鎌倉総合病院では2024年に2例の脳死下臓器提供を実現。民間非大学病院として、医療現場主導での臓器提供体制を整備し、自院の取り組みとして成果を挙げたこの実例が論文内でも紹介されています。
掲載論文情報
- 雑誌名 :American Journal of Transplantation
- タイトル:Cultural Myth vs. Systemic Failure: Why Japan’s Deceased Organ Donation Rate
Remains Stagnant
- 掲載日 :2025年7月16日
- DOI :1016/j.ajt.2025.07.2467
- 著者 :大久保恵太(筆頭著者)ほか
American Journal of Transplantation について
『American Journal of Transplantation』は、アメリカ移植学会(AST)およびアメリカ移植外科学会(ASTS)が共同で発行する、移植分野の研究成果を掲載する査読付きの月刊誌であり、両学会の公式学術雑誌です。
臓器移植に関わる医学・生物学・倫理学を含む幅広い領域を対象としており、移植医療に携わる研究者、臨床医、その他の医療専門家にとって重要な情報源となっています。
Impact Factorは8.2(2024年現在)と、移植医療領域では世界最高水準を誇り、掲載される論文は国際的にも高い注目を集めています。
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湘南鎌倉総合病院 広報室
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