腎臓内科ブログ
<Vol.46>【10/15 SLEの公開講座リニューアル】
10/15(水)公開医学講座
公開医学講座のため、戸塚公会堂まで行って参りました。
『全国に4万人?~SLEという病気~』というタイトルで、全身性エリテマトーデス(SLE; Systemic lupus nephritis)についてのお話をしました。
公開講座のパンフレット
SLEは、数ある膠原病のなかでも代表的な疾患で、公費対象の病気でもあります。
日本では5万人以上の患者さんがいるとも言われています。
関節リウマチ、強皮症、皮膚筋炎など、標的となる臓器がわりと限られている病気と異なり、その名の通り全身のいろいろな臓器が標的となりうる病気で、つかみどころがなく分かりにくいかもしれません。
SLEは蝶形紅斑など皮膚の異常が出現することから、古く19世紀には皮膚科医がこの症状に注目していたようです。
20世紀初頭には、内科医であるWilliam Oslerが、「多臓器が冒される滲出性紅斑である」、「SLEは内科学の真髄である」と言っています。
その後、Libman Sacksが心内膜炎、日光過敏症がSLEの特有の症状であることを発見し、病理医であるPaul Klempererらがフィブリノイド変性を持つ疾患を膠原病と命名し、その代表としてSLEを位置づけています。
1948年になると、Hargraves はSLE患者の骨髄からLE細胞(リンパ球の核を貪食する多形核白血球)を発見し、SLEに特有なものであると報告しました。
そして現在、SLEのメカニズムについてまだよく分かっていないところもありますが、B細胞が関係していると言われています。
最近では複数の薬を組み合わせて使用するマルチターゲット治療の有効性が報告されています。
さまざまな症状が出現する可能性がありますが、症状、病状も人により大きく異なることから、一言でこの病気を説明するのは難しく、この公開講座を通じて少しでもこのSLEという病気への理解が深まれば、と思っています。
血液浄化部
岡 真知子