腎臓内科ブログ
<Vol.36>【長期透析患者のCPC】
当院では定期的にCPC(Clinicopathological conference)が行われています。
7月29日には「多彩な心血管合併症を呈した長期透析患者の一例」と題したCPCが開催されました。
臨床経過を初期研修医の鈴木先生、病理結果を黒田先生が発表し、また病理医の手島先生からコメントがありました。全身の異所性石灰化、アミロイド沈着の状況、治療経過などについて細部にわたりディスカッションが行われました。
長期透析に伴う合併症である異所性石灰化や透析アミロイド―シスの予防、あるいは軽減させることの重要性を改めて感じさせられました。
鈴木先生と黒田先生のプレゼンテーション
今でこそ日本の透析患者数は30万人を超えていますが、実は透析の歴史は短く、日本で血液透析が健康保険の適用となったのは1967年です。
統計によると1968年の透析患者数はたった215名でした(信じがたいです)。
患者さんが血液透析を始めた1970年代はまだまだ透析が珍しい治療であったようです。
約50年と透析の歴史は長くはありませんが、治療内容は大きく進歩しています。
合併症に対する対策も以前に比し強化されてきました。
透析アミロイド―シスに深く関係していると言われるβ2MGや炎症性サイトカインを除去するには、ハイパフォーマンス膜を用いた透析、off-lineやon-line HDF、β2MG吸着カラムを用いた吸着療法などの方法があります。
また、透析液の清浄化も重要視されています。
このように、今後は血液透析の合併症が軽減されることが予想されますが、もちろん完璧ではありません。
貴重なCPCの結果を医療にフィードバックし、更なる予後改善を目指すことが我々の責務だと思いました。
血液浄化部
岡 真知子