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胸壁外科ブログ

<Vol.12>第98回米国胸部外科学(American Association for Thoracic Surgery, AATS)について(その2)

胸壁外科
2018.05.31

AATSには飯田が責任者として漏斗胸の手術を行うようになってから昨年夏までの24年間の400件以上の手術について「Twenty Four Years Experience of Open Surgical Repair for Pectus Excavatum」という題で下記の内容の発表をしました。

それ以前の手術方法である、ラヴィッチ法や胸骨翻転術、胸肋挙上術原法などをもとにして胸肋挙上術変法(SCE)を開発しました。

1998年にNuss先生が全く新しい発想の手術を発表してその術式が一気に広がった時には、Nuss法の合併症が比較的多いことに気が付き、SCEにさらに改良を重ね、現在はSCE変法3,4,5を患者さんの年齢や胸の形に合わせて行っています。異物を用いないので、それがずれたり、成長に伴って体に合わなくなったり、感染したり、痛みが長く続いたりすることがない事が利点です。Nuss法では10%程度にみられる重篤な合併症がSCEでは起きたことがありません。また長期間痛みが続くことや、長期の運動制限もありません。Nuss先生など欧米の先生は思春期前の患者さんには手術を行わない様になりましたが、SCEは5-6歳の患者さんから行う事ができます。手術後の成長に伴う変化は完全には否定できませんが、5-6歳ごろに胸の形が気になりだした患者さんを中学入学頃まで長期間待たせることは良い事とは思えません。またSCEは突出を伴った変形や左右非対称の胸郭も良好に矯正する事ができます。SCEは合併症がとても少なく、患者さんにご満足いただける手術方法であり、患者さんが手術を受ける際にNuss法と対比して選択する手術方法となりうるのではないかと考えています。

発表後の質問は以下のようでした。

Q1: 胸骨下部をとることで問題は起きないか

Q2: 肋軟骨が無くなる程度の切除をしなければ矯正はできないのでは

Q3: 手術後長期の結果について

A1: 胸骨下部は陥凹の最深点であることが多くその切除によって心への圧迫が解除される。また下部肋軟骨の再縫合が容易になり十分な張力が胸骨を引くようになり、その反作用で胸壁も引かれ、より良い矯正が得られる。腹直筋などを修復するので問題は生じない。

A2: 肋骨肋軟骨の間を剥離しないので1本ずつの肋骨ではなく、胸壁全体が胸骨を左右と下方(尾側)に引く強力な力が生ずる。そのため肋軟骨の切除はラヴィッチ法や胸肋挙上術原法などと比べて少なく十分な長さの肋軟骨を残しても矯正が得られる。

A3: 長期間異物を体内の残すようなことはしないので、再縫合した肋軟骨が癒合して治癒が終了すれば定期的な診察や検査は不要である。そのため1年目以降は学校や勤めを休んで外来に来てもらうことはしないが、何年経っても異常があればメールでの相談を受けている。

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