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胸壁外科ブログ

<Vol.15>医学と科学

胸壁外科
2018.12.26

胸部外科(心臓血管外科と呼吸器外科)の分野でもっとも権威がある医学雑誌であるJournal of Thoracic and Cardiovascular Surgery 誌に胸肋挙上術の論文を投稿していくつかの指摘を受けました。

まず手術後の長期的な結果はどうかと言う点です。胸肋挙上術では軟骨の治癒が完了して、皮膚の肥厚性瘢痕の危険がなくなれば受診していただく必要がなくなるので通常は手術後1年で定期的な診察を終了します。その後は異常があった際に受診していただいたり、メールでご連絡いただいたりしています。長期に渡って学校や勤務を休んで受診していいただく必要がないことも胸肋挙上術の利点です。しかし医学研究論文としては数年後まで診察を続けて評価する必要があります。

胸郭変形疾患は患者さんによって胸郭の形だけでなく体形や軟骨の弾力などが異なるので手術の技術的なことは数字では十分に表現できません。しかし科学の世界では客観性や再現性を持たせるために数字で示さなければなりません。アートではなくサイエンスなのです。この様に実際の診察や手術と科学の間には差がありますが、私たちはこの差を埋めて、胸肋挙上術の優位性を科学的に証明したいと思っています。
今年の日本小児外科学会では思春期前にナス法を行っている先生の発表がありました。ナス先生をはじめ欧米のほとんどの医師は思春期前にはNuss法の手術は行わない方が良いと言っています。この時期に手術をすると成長によって金属バーが体に合わなくなったりずれたりすることや、バーを抜いた後の成長によって再陥凹する危険があるからです。千人を超える患者さんに手術を行っている欧米の多くの医師の意見に反して手術を行うには、画期的な手術方法の工夫が必要なはずです。発表された先生にそのことについて尋ねてみましたが、明確なお答えはいただけず、患者さんが希望するから、とのお返事でした。患者さんの希望に答えるのは大切なことですが、その前提は医学的に同等の効果が証明された選択肢がある場合です。国内には小児の漏斗胸手術に独自の工夫をされている先生もいらっしゃいますが思春期前のNuss法は欧米ではほぼ否定されています。

私たちの胸肋挙上術変法は独自の方法です。独善的にならない様に、可能な限り科学的な検証を行いながら術式をさらに良いものにする努力を続けていきます。

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