胸壁外科ブログ
<Vol.20>手術方法
胸壁外科
2019.08.14
漏斗胸手術を多く行っているほとんどの病院ではNuss法を行っています。学会でNuss法以外の手術について発表するのは私たちだけです。そうであるからこそ、手術方法をより良くする努力を続け、ひとりよがりにならないように議論に耐えるようにデータをまとめて発表しています。
2018年には呼吸器外科心臓外科分野では最も権威がある学会である米国胸部外科学会(AATS)に胸肋挙上術の演題が採用され口演発表しました。2019年秋のヨーロッパ心臓胸部外科学会(EACTS)に演題が採用され発表する予定です。
国内では2018年秋のNuss法漏斗胸手術手技研究会のテーマは「Nuss法&様々な胸郭形成術」でしたが、Nuss法以外の手術について発表したのは私たちの胸肋挙上術だけでした。本年の同学会のテーマは「患者にやさしい漏斗胸治療」ですが、会長の浜島昭人先生のごあいさつの中には「・・・異物を用いずバー抜去術が不要である胸肋挙上術や、・・・」との記述があります。
40年近く前に小学生以下の患者さんに対して開発された胸肋挙上術をすべての患者さんに適応し、合併症が少なく、より良い矯正が得られ、早期にすべての活動に戻れるように私たちは今も改良を重ねています。手術方法を開発した諸先輩に敬意をはらって術式名は変えていませんが、私たちの胸肋挙上術変法は当初の手術とは対象年齢、創の大きさ、入院期間、手術後の形など全く異なります。そのことが次第に認知されつつあります。Nuss法に対して、もう一つの選択肢alternativeとなるように、胸肋挙上術を振り返って、さらに改良できるように今後も務めていきます。