薬剤部
はじめに
近年、医療の現場では新しい医薬品の開発・上市が早まり、治療に難渋していた患者さんに有効な治療が提供されております。その一方では薬剤に関連する有害反応への対応も重要になっております。我々薬剤師はこの湘南地域の医療に貢献すべく、患者さんに安心安全な薬物治療が行われるよう、薬の専門家として医師をはじめ多職種と連携を図り、日夜研鑚に励んでいます。
適切な薬物治療を共に行い、日常生活の質の向上に邁進して参ります。
患者さんへ
- 当院の外来処方は、院外処方箋を発行しております。有効期限は発行日を含めて4日間です。期日を超過しますと再発行が必要となり再度来院して頂くことになります。ご注意下さい。
- 当薬剤部では、相談窓口を設けてお薬の相談を常時受け付けております。ご不明な点がございましたらお気軽にご相談下さい。
- 残薬や使用しない薬(不要な薬)がある場合は、診察時に医師へ申し出るようにして下さい。
- 薬物治療の情報を地域の医療機関と共有するため、お薬の使用履歴、検査値、療養上の必要事項などの情報を、相互に交換させて頂くことがありますのでご了承下さい。ご不明な方はお尋ね下さい。
薬剤部の仕事内容
調剤業務(内服・点滴)
主に外来・入院患者さんの点滴薬や内服薬の調剤・監査を行っています。処方内容について、用法・用量の妥当性、薬剤間の相互作用、配合変化などに問題がないかを確認し、患者さんの体重・年齢・検査値・カルテ記載内容を総合的にチェックしています。必要に応じて医師へ問い合わせを行い、安全で適切な薬物療法が行われるよう努めています。
当院では電子カルテ・オーダリングシステムを導入しており、安全性と効率性の高い調剤業務を実現しています。点滴調剤室にはアンプルピッカーを導入しており、作業の効率化と制度上昇を図っています。また、24時間365日の医療体制に対応するため、夜間は薬剤師2名による当直体制を整えています。

院内製剤業務
患者さんの病態やニーズに対応するため、医師の依頼に基づき、市販されていない薬剤を薬剤師が院内で独自に作製しています。
具体的には、患者さん自身の血清から作製する点眼薬や血液透析を受けている患者さんの皮膚掻痒感に使用する軟膏、抗がん剤治療中の患者さんの口内炎に使用する咳嗽液などを製剤しています。

高カロリー輸液の無菌調製業務
高カロリー輸液とは消化管からの栄養摂取が難しい(食事がとれない)患者さんのために、静脈から栄養を補給する製剤です。既存の高カロリー輸液製剤と比べて患者さん個々の病態や医療ニーズに対応できることから必要に応じて高カロリー輸液の調製を行っています。 調整は感染管理の観点から、クリーンベンチという異物混入防止を目的とした装置のなかで混注しています。

医薬品在庫管理業務
病院全体の医薬品在庫を適切に管理することは、薬剤師にとって重要な業務の1つです。薬剤師法第1条には、「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする」と記されています。当院薬剤部では、毎月末に棚卸業務を行い、薬剤部内の医薬品の在庫数や使用期限を確認しています。
また、薬剤部外では外来・病棟・手術室などに配置されている医薬品の管理をしています。各部署での需要にあった医薬品配置ができるように、定期的に医薬品数の見直しを行っています。使用量や使用頻度の傾向を分析し、過不足ない医薬品管理を心がけています。
病棟業務
入院される患者さんの多くは、様々な疾病を抱えています。医療機関で処方された薬剤だけでなく、市販薬やサプリメントを使用している方も多く、今日における「薬」は種類・形態ともに多様化しています。そのような背景から一昔前に比べ多くの人が薬剤を服用している状況です。 当院ではすべての病棟に薬剤師を配置し、入院患者さんに対する薬の適正使用に努めています。病棟薬剤師は、服薬指導、薬剤管理、お薬手帳・常用薬の確認、副作用・相互作用のモニタリングを行い、医師・看護師・コメディカルと情報を共有しながら、ファーマシューティカルケアの実践を目指しています。病棟業務は、患者さんの治療に直接関わるやりがいの大きい業務であり、チーム医療の一員としての責任と充実感を実感できる分野です。

医薬品情報提供業務
新しい医薬品の情報収集、院内採用薬の再評価や薬の副作用収集をして、安全かつ効果的な薬物治療が行われるよう情報提供を行っています。また、病棟薬剤師と連携し、医療者からの各種問い合わせにも対応しています。
さらに、電子カルテからアクセスできる院内採用薬品集の更新・管理も行っています
薬物血中濃度モニタリング(TDM:Therapeutic Drug Monitorig)
薬の血中濃度が高い状態が続くと副作用が現れやすくなり、逆に低いと治療効果が充分得られない可能性があります。
薬剤部では一部の薬剤に対して、TDMを行っています。薬の専門家として投与量や投与間隔が適切かどうかを評価し、医師へ処方提案を行っています。
また働き方改革の取り組みの一環として、一部の診療科ではTDMの結果に基づく処方代行を薬剤師が担っています。
中毒関連業務
解毒薬の在庫場所一覧・中毒症例の対応マニュアルの作成、過去の中毒症例のデータを収集・整理することにより、緊急時の薬剤や情報の提供が円滑に進むように取り組んでいます。
栄養サポートチーム(NST:Nutrition Support Team)における薬剤師業務
栄養状態の低下により治療が難渋している患者さんや、病棟から依頼のあった入院患者さんを対象に、多職種でディスカッションを行い、栄養面からの提案を通じて患者さんの栄養状態の改善を目指しています。薬剤師は、栄養輸液の処方設計の支援や関連情報の提供、食欲に影響を及ぼす薬剤の追加・中止の提案などを行っています。

感染防止対策委員会(ICC:Infection Control Committee)における薬剤師業務
院内感染の防止や環境調査を目的に感染対策チーム(Infection Control Team:ICT)が週1回の環境ラウンドや月1回の委員会を実施しており、当院の感染制御認定薬剤師も参加しています。
感染症が院内で蔓延すると、医療機関に大きな影響を及ぼします。特に耐性菌が関与する場合、その影響はより深刻です。
当院では耐性菌の発生や拡大を防止するために抗菌薬の使用状況を評価し、不必要な抗菌薬使用を減らすための取り組みを行っています。
薬剤部では抗菌薬の使用状況を統計的に分析し、医師をはじめとする多職種と情報を共有しています。
また、抗菌薬を適切に使用するための支援をする抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Team:AST)という組織もあります。ASTでは、血液培養陽性患者さん、特定抗菌薬(例:広域抗菌薬・抗MRSA薬)を使用している患者さん、特定疾患(例:発熱性好中球減少症)を有する患者さんなどをリストアップし、抗菌薬が適正に使用できるように支援しています。
さらに、近年は感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)にも参加しており、薬剤耐性対策に関する国の取り組みにも貢献しています。
血液透析患者指導
当院で血液透析を受けている患者さんのベッドサイドで、薬物治療のモニタリングを行っています。また月2回、透析患者さんへの服薬指導を実施しています。検査値、服薬状況、自宅での食事摂取状況などを聴取し、医師・看護師とディスカッションを行いながら、処方提案を積極的に行い、それぞれの患者さんに合ったコンプライアンスの向上を検討しています。
周術期薬剤師外来
全身麻酔を受ける患者さんを対象に手術前面談を行っています。患者さんの使用している薬剤やサプリメントが手術前に休止する必要のあるものかを確認し、主治医の指示のもと、麻酔科医師・看護師と協力して患者さんへ指導を行っています。
薬剤が休薬できていないことによる手術の延期や麻酔方式の変更を回避し、安全に手術が行えるよう薬剤面で支援しています。

その他の業務
回診・カンファレンスへの参加、糖尿病、心不全、褥瘡、認知症、緩和ケア、妊婦・授乳婦など薬剤師の専門性が必要な場で活動を行っています。また、専門・認定薬剤師制度のバックアップ体制もあり、学会発表などの学術活動にも同時に力を入れています。
心不全教室
学会発表
学会発表
他施設への応援
徳洲会グループは全国各地に施設をもち、質の高い医療の提供を目指しています。離島などで人口が少ないところでも全ての患者さんが充実した医療を受けられるよう、各病院の薬局に出張し、業務の応援を行っています。
実績
2024年度 月平均
| 外来処方箋 | 5,978枚 |
|---|---|
| 院外処方箋発行率 | 70.3% |
| 入院処方箋 | 18,108枚 |
| 入院注射処方箋 | 22,095枚 |
| 薬剤管理指導1 | 1,840件 |
| 薬剤管理指導2 | 1,689件 |
| 退院時薬剤情報管理指導料 | 1,645件 |
| 化学療法件数(外来/入院) | 1,023件 / 254件 |
| 化学療法患者指導件数 | 480件 |
スタッフ紹介

2025年4月現在
薬剤師数(常勤/非常勤):63名/1名 薬剤師の男女比:男20名/女44名
事務・調剤助手数:2名
認定取得(2025年4月現在)
- 日病薬認定指導薬剤師 1名
- 感染制御専門薬剤師 2名
- 感染制御認定薬剤師 4名
- がん薬物療法認定薬剤師 4名
- 精神科薬物療法認定薬剤師 1名
- 日病薬病院薬学認定薬剤師 22名
- 医療薬学会専門認定薬剤師 1名
- 糖尿病薬物療法履修薬剤師 3名
- 抗菌化学療法認定薬剤師 2名
- 腎臓病療養指導士 3名
- 腎臓病薬物療法認定薬剤師 2名
- 救急認定薬剤師 2名
- 外来がん治療認定薬剤師 1名
- 緩和薬物療法認定薬剤師 1名
- 緩和医療暫定指導薬剤師 1名
- NST専門療法士 4名
- 日本糖尿病療養指導士 4名
- 周術期管理チーム薬剤師 2名
- 心不全療養指導士 1名
- 認知症研修認定薬剤師 1名
- 認定実務実習指導薬剤師 6名
- 漢方薬・生薬認定薬剤師 1名
- 薬剤師研修センター認定薬剤師 3名
- スポーツファーマシスト 2名
- DMAT隊員 1名
出身大学
- 東京薬科大学
- 明治薬科大学
- 共立薬科大学
- 帝京平成大学
- 金沢大学
- 同志社女子大学
- 昭和薬科大学
- 千葉科学大学
- 日本大学
- 帝京大学
- 東邦大学
- 東北医科薬科大学
- 北里大学
- 慶応義塾大学
- 東京理科大学
- 姫路獨協大学
- 北陸大学
- 城西大学
- 昭和大学
- 徳島文理大学
- 崇城大学
- 星薬科大学
- 北海道科学大学
- 横浜薬科大学
- 武蔵野大学
- 武庫川女子大学
最近の topics
実際の軟膏と食紅を使用した軟膏調剤業務の体験コーナーを開催しました。地域の子供たちを中心に多くの方々にご参加いただき、大盛況となりました。
薬剤部は毎年秋ごろに開催している病院祭にも参加しています。

今回は、先日行われたイベントについてご紹介します。森永製菓さんの商品を、定価の2~3割引で購入できるお得な販売会が実施されました。当院の常勤職員であれば誰でも参加でき、多くの職員で会場は賑わい、薬剤部のスタッフの姿も多く見られました。
この販売会は、福利厚生の取り組みのひとつとして開催されたものです。当院では、働く職員が少しでもリフレッシュできるよう、状況に応じてさまざまな企画が行われることがあります。
福利厚生は、就職を検討される方にとって大切な判断材料のひとつかと思います。当院には、日々の働きやすさを支える制度だけでなく、今回のようにちょっとした楽しみになる企画が行われることもあります。月末の土曜日という忙しい一日ではありましたが、参加した職員にとって、ほっと一息つける時間となりました。







