遺伝診療科

遺伝診療科について

遺伝診療科は、遺伝や家族性の病気に関する診療を専門とする診療科です。遺伝に関連する病気やその可能性がある方、または家族性の病気について疑問や不安をお持ちの方をサポートします。
また、必要に応じて、それぞれの病気の専門診療科と連携して診療を行います。

ごあいさつ

　近年、医学研究の進歩により、原因不明であった病気のなかで、多くの病気が遺伝子の変化によって起こっていることが明らかになってきました。その中には、遺伝子の検査結果やその情報をもとに、病気に合わせた最適な治療（遺伝子治療などの先端治療）を受けることができる病気もあり、個々に合わせたオーダーメイドな治療が行える医療（個別化医療）を提供できる時代となってきました。
　遺伝子の検査（遺伝学的検査）は、時代とともにより正確により簡便に受けられるようになってきましたが、その結果に含まれる内容は、検査の利便性が向上しても、変わらず大きな意味合いを持ちます。
　「検査をうけるべきかどうか」「受ける場合は、どのような検査を受けるべきか」「結果をどう受け止めればよいのか」といった疑問や不安をお持ちの方も多いと思います。まずは、検査の前に正しい情報や検査を受ける意味・必要性を十分理解し、納得することが大切です。検査を受けた場合は、その検査の結果の解釈について、深い理解をして頂くことが重要で、間違った解釈により、ご本人だけでなく、ご家族にも大きな影響を及ぼすことがあります。
　遺伝学的検査や遺伝子治療が益々開発され、より先進的な医療が提供できる時代となってきたことに対応して、当院では、「遺伝診療科」として独立した診療科を設置し、遺伝に関する問題や不安を抱える方々に、遺伝カウンセリングを通じて丁寧な説明とサポートを行える体制を整えました。検査を希望される方だけでなく、遺伝について気になることがある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
　「遺伝」と聞くと、妊娠や出産をイメージする方が多いかもしれません。しかし、実際には内科・外科・小児科をはじめ、ほぼすべての診療科と関係しています。さまざまな診療科と連携しながら、患者さんやご家族の不安を和らげ、安心して医療を受けられるようお手伝いします。少しでも気になることがあれば、ぜひ当診療科をご活用ください。

遺伝診療科　部長
寺島 智也

遺伝診療科でできること

遺伝カウンセリング

遺伝に関する病気やそのリスクについて、専門の医師、看護師、カウンセラーがわかりやすくご説明します。患者さんやご家族または相談に来られた方の不安や疑問に寄り添い、遺伝に関する正確な情報を提供し、問題解決や最適な選択ができるようサポートします。

遺伝カウンセリングの対象となること

ご自身のこと、お子様のこと、ご家族のこと、その他の血縁者のことで、遺伝性の病気に対する遺伝子の検査（妊娠・出産に関する検査を含む）や遺伝子の治療、その他、遺伝に関する様々なことが対象となります。

遺伝学的検査の相談と実施 ／ 遺伝子治療の相談

必要に応じて、遺伝カウンセリング後に遺伝学的検査を行い、病気の原因やリスクを調べます。
遺伝カウンセリングにて検査の内容やメリット・デメリットについて丁寧にご説明し、十分ご理解いただいた上で進めます。

こんな方におすすめです

• 妊娠や出産を考えており、遺伝について相談したい方
• 出生前診断について相談したい方
• 高年妊娠なので心配な方
• お子さんが遺伝性の疾患といわれた方
• 家族に特定の病気が多く、遺伝の可能性が気になる方
• 特定の病気が遺伝子によるものかを知りたい方
• なんとなく遺伝のことが心配な方
• 難病を患っているまたは難病のご家族がおられ、遺伝性が心配な方
• がんの家族歴があり、自分や子どもへの影響が心配な方
• 体質や生活習慣病などの家族歴が心配な方
• 遺伝的に体質としてお薬の副作用が出やすい方

対象疾患

• 周産期領域
  NIPTを含む出生前診断、今後の妊娠についての相談、不妊症、習慣流産（染色体転座）など
  
  
• 神経筋領域・成人領域
  神経変性疾患、筋疾患、循環器疾患、代謝性疾患 など
  
  
• 腫瘍領域
  遺伝性乳がん卵巣がん症候群（HBOC）、リンチ症候群、Li-Fraumeni症候群、多発性内分泌症候群、家族性大腸ポリポ－シス など
  
  
• 薬理遺伝学
  お薬の副作用が出やすい方など、代謝に関わる遺伝子変化など

受診をご希望の方へ

　診療は主に臨床遺伝専門医、遺伝看護専門看護師、遺伝カウンセラーが担当します。
また、必要に応じて他の医師が同席させていただく場合がございます。

　初診時には、ご本人様やご家族の病歴・健康状態について詳しくお伺いします。紹介状などの診療情報をお持ちの方は、必ずご持参ください。
また診療をより円滑に進めるために、可能な範囲で問題ございませんので、以下の準備をお勧めいたします。

• ご家族の健康に関する情報や家系の状況（ご家族の年齢、病歴、発症年齢など）
• 事前に相談されたい内容の整理
• 過去に遺伝学的検査（遺伝子検査）を受けられた場合は、その結果に関する情報

上記のような情報をあらかじめご準備いただくことで、より適切でスムーズな診療につながります。

診療担当表

今月の診療担当表はこちら

予約方法

遺伝診療科は完全予約制です。予約方法についてはこちらをご参照ください。

医療機関からのご紹介

紹介元の担当医より遺伝診療科宛に紹介状の作成依頼をしてください。出生前診断外来希望の場合は、その旨を明記頂くとスムーズです。
医療機関からのご予約の取得についてはこちら

出生前診断外来

外来日：月曜日から金曜日（月曜日と金曜日は午後のみの診療）
出生前診断外来（NIPT）についてはこちらをご覧ください。

遺伝性神経筋疾患・成人疾患外来

外来日：月曜日・水曜日・金曜日
神経筋疾患の遺伝カウンセリングについて詳細はこちらをご覧ください。

家族性腫瘍外来

外来日：金曜日（他の曜日をご希望の方はご相談ください）
家族性腫瘍遺伝子検査と検査費用についてはこちらをご覧ください。
※患者さんご自身の検査は、オンコロジーセンターがんゲノム外来にて対応させて頂く場合がございます。詳細はこちらをご覧ください。

薬理遺伝学外来

外来日：月曜日・水曜日・金曜日の午前
一部のお薬に関する副作用が出やすいかどうか、効果的が得られるかどうかについての薬理遺伝学検査（薬物代謝遺伝子検査 Pharmacogenetic Test）を行うことができます。

費用について

遺伝カウンセリング費用

初回：11,000円（税込）
再診：5,500円（税込）（初回の内容の継続）

出生前診断検査費用

周産期医療センターホームページをご参照ください。
詳細はこちら

遺伝学的検査費用

自費での検査施行時には手数料がかかります。
検査費用：各遺伝学的検査料＋手数料 （5-26万円、項目により異なります）

※遺伝カウンセリングには原則として健康保険は適応されません。
※一部の検査とそれに伴う遺伝カウンセリングは健康保険の適応になっています。

スタッフ

寺島 智也 /　滋賀医科大学卒
遺伝診療科　部長

認定等	臨床遺伝専門医・指導医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本神経学会専門医・指導医・代議員・診療向上委員会幹事委員、日本再生医療学会認定医・代議員、日本遺伝子細胞治療学会認定医、日本医師会認定産業医
所属学会	日本人類遺伝学会、日本内科学会、日本神経学会、日本再生医療学会、日本遺伝子細胞治療学会、日本神経治療学会、日本脳卒中学会、日本認知症学会、日本末梢神経学会、日本癌学会、米国遺伝子細胞治療学会など

詳細

福田 貴則/　東京慈恵医科大学卒
遺伝診療科　部長

認定等	日本産科婦人科内視鏡学会評議員、神奈川日本産婦人科内視鏡研究会世話人、日本産科婦人科学会指導医・専門医、日本婦人科腫瘍学会専門医、日本専門医機構産婦人科専門医、日本遺伝性腫瘍学会専門医、日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医・指導医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医（腹腔鏡・子宮鏡）、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、神奈川県難病指定医、日本婦人科ロボット手術学会認定プロクター、臨床遺伝専門医
所属学会	日本周産期・新生児医学会、日本産婦人科手術学会、日本女性医学学会、日本人類遺伝学会、日本婦人科ロボット手術学会

詳細

三ツ屋 妙
助産師　遺伝看護専門看護師